2008年11月6日木曜日

日本の松が枯れる原因は、北米の・・・。

2003年、カナダからアラスカにむけて、車で走りました。地平線に続く緑の森がほんとうに綺麗でした。ところが、2005年に走ったときには、その緑が、延々と赤茶けているのです。今年は、以前働いていたカナダの牧場を訪ねると、周りの立派な木々が枯れ果てていて、見るも無残でした。
北米では、広大な森が、ものすごいスピードで枯れているのです。
これは、パインビートルという木喰い虫の仕業と言われています。その被害は、年々酷くなり、今では、山火事で消失する被害よりも甚大だそうです。

今のところ、温暖化により、虫が越冬してしまうことが原因とされています。
ところが、虫は以前から木を食べ、木に卵を産み、成長するというサイクルを繰り返していました。だから、そもそも、虫が木を食べ、卵を産むことで枯らしていた訳ではないんです。
木が枯れる原因は、虫が運んでくる菌。
虫によって枯れた木を切り倒すと、青く染まっています。これが、青菌(blue staining fungi)で、カビの一種でこの菌が広がることによって、木は、水と栄養分を運ぶことができずに、死んでしまうんです。虫たちにとっては、とんだ濡れ衣なんです。

さて、日本も松喰い虫の被害は尋常ではありません。我が故郷も、里山の立ち枯れが目だっています。松喰い虫と言われる虫は、カミキリムシ、ゾウムシ、キバチなど。でも、この虫たちも、本来、木を枯らすことはなかったのです。
考えてみてください。虫たちにとって木は、食べ物であるし、寝床であるし、卵を保護する場です。木が死んでしまえば、共倒れです。

日本の松が枯れる原因は、マツノマダラカミキリ虫が、マツノザイ線虫という、うにょうにょを運んでしまうことが原因です。下の写真が、その、うにょうにょ線虫。

この、うにょうにょ線虫こそ、日本の松を枯らしているんです。日本では、カミキリ虫を、松の木を喰って枯らしていると言って駆除しています。これも、虫たちにとっては、濡れ衣。
この線虫は、そもそも日本には居ませんでした。北米からやってきた外来種なのです。日本は、北米から大量の木を輸入しています。その木についていた線虫が、カミキリ虫を媒体に、今、日本の松を枯らしているんです。ちなみに、北米の木は、この線虫に対して抵抗力があるので枯れることはなく、日本の木には、もともと存在しなかったのですから、抵抗力がないそうです。

最近、カナダの青菌(パインビートル)にやられた木を、日本が安く輸入しはじめたそうです。青い模様が綺麗だからと、家具を作るそうです。カナダ側は、手をこまねいていた枯れ木のことですから、大喜び!!!

でも、考えて・・・。日本に、この青菌が入ってくるということですよ。綺麗では、済まされません。
虫を駆除したからといって、根絶できるわけではないんです。相手は、目に見えない菌や線虫なんです。
輸入検疫では、木材の中心温度を56度C以上で熱処理、もしくは窯で乾燥処理。薬品処理。とありますが、それをすり抜けてきていますからね・・・。心配ですよね。

ちなみに私は、虫が大の苦手なので、カミキリ虫が出てきたら、飛び上がって逃げなければなりませんが・・・。 うにょうにょ、なんて、とんでもない!

1 件のコメント:

TAKAZAWA Shingo さんのコメント...

昔、羽衣の松で有名な静岡県の三保の松原の脇に住んでいたことがありました。
立派なマツがどんどん枯れていくので、毎年のようにヘリコプターで農薬を撒いていましたが、まるで効き目なし。
まだ枯れ続けているのかな。。

さて、青菌の木、怖いですね。
今までも、安全だ、と言っていてちっとも安全ではなかったものばかりです。古いところだとDDTとかPCBとか。
最近だと最新技術でちやほやされて化粧品などにもたくさん入っている「ナノ粒子」。普通サイズの物質は何の実害もないのに、ナノレベルの大きさになると、細胞内に入り込んで有害物質として働くものもたくさんあります。化粧品に入っているナノ粒子はちょっと怖いと思ってます(使わないけど)。

話が木からそれてきました。
楽器を作るとある人がマホガニーという木を輸入したそうです。そのマホガニー、ダニがたくさん付いていて、その人は大変な目にあったそうです。
検疫で消毒するのでしょうが、すべてが消毒される訳でもなさそうです。

日本の針葉樹が青菌に犯され始めてから、日本人は青くなるんでしょうね。