2009年10月23日金曜日

神津島

伊豆諸島の島の一つ、神津島(こうづしま)へ行って来ました。
途中、羽田沖で時間調整をしたり、大島や新島などに寄港して行くので、東京から船で約12時間(帰りは10時間ほど)。調布から飛行機も飛んでいるので、飛行機で行くことも可能。

夏場は海水浴客で賑わっているようですが(石英質の白い砂浜はたいそう美しいです)、季節外れのこの時期は、釣り客がわずかにいる程度。
海がきれいなことは言うまでもなく、透明度は10mを超えている様子(水深8mの海底が見えるくらいだし)。
ウェットスーツを着て波間を漂っていると、人工リーフの間にブダイやイシダイの姿。イセエビもいるらしい。黄色い模様が目立つカニが慌ててリーフの隙間に逃げ込んで行きます(色々写真は撮っているのですが、仕事の関係で残念ながら公開できません)。

ビデオカメラを持って泳いでいると、台風が残していったうねりが身体を変に揺らし、ついには波酔い。船に上がって、寝転がっていると酔いは収まるけれど、作業を始めると再び波酔い。
まさか海の中で酔うとは思わなかった。

遊びだったらとても良かったのだけど、生憎仕事で来ている神津島。磯で素潜りしたり、キャンプしたりはできなかったのが非常に残念。

さて、絶海の孤島かと思っていた神津島、高台に登れば、伊豆の島々が見渡せます。ああ、これだったら、多少の航海術があれば、島から島へ人の移動があったのだな、と思うのです。この島は良質の黒曜石の産地だそうで、日本の各地で神津島産の黒曜石を使った石器が見つかるそう。

高台から見た「長浜」。キャンプ場もあり、夏は海水浴客で賑わっていることでしょう。
この長浜、様々な要因で海岸の砂が流出しているそうで、それを防ぐべく湾口部に人工のリーフ(コンクリートのブロック)を入れています。
手前から向こう側にかけて、海面がうっすらと黒くなっているところがわかるでしょうか?
その部分が人工リーフ。観測機器を設置して人工リーフ付近の流速や波の高さなどを継続的に調査して効果を見ているようですが、ぱっと見は人工リーフの効果はあまり出ていないような感じ。
漁業的には魚やイセエビがリーフについてよい漁場になっているとのこと。

島には港が二つ。前浜と多幸浜。こちらは前浜の漁船用の泊地。通常、定期船は前浜に入港。荒天時には多幸浜に入港するらしいです。
遮るもののない島なので台風のうねりが直接押し寄せてきます。先日の台風でも、防波堤を越えて波が入って来たとのこと。そのため、使用していない漁船は常に漁港のスロープの上に引き上げてあります。
イセエビ、キンメダイ、ブダイ、サザエなどなど、捕れた魚は築地へと出荷されているので、知らず知らずに神津島の魚を食べているかもしれません。
漁法は定置網、釣り、漁師が海に潜ってヤス(銛)で魚を突いて捕る漁など。ヤスの先端部がエスキモーの使っているものと同じ形式なのでちょっと感動したり。
ちなみに一番手前が今回作業に使った船。お世話になりました。

こちらは多幸浜の港のすぐ横に広がる白砂の海岸。
山がそのまま海へと落ち込んでいる絶景の海岸です。おいしい湧き水も湧いています。
向こうに見えている崖の中腹には黒曜石の露頭があるそう。
この崖の上の方、天上山(574m)の頂上付近には「砂漠」や「湿地」があり、この島にしかない植物もあるそうで、ハイキングするのにもとても良いところ。時間があれば是非行きたかったのですが誠に残念。

読み返してみると、聞いたことで自分で確認していないことや「残念」なことの多かった島ですが、静かで魚が上手くて、とても良い島でした。機会があれば、また行ってみたい島です。

最後におまけ。
横浜港入港時の赤レンガ倉庫とランドマークタワー。静かな島から、光と音の溢れている都会に戻って来ました。この風景の方が幻を見ているような感じがしました。

できた当初からこのランドマークタワーが墓石に見えるんですよ。何故か。。。

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